バイナンスコイン(BNB)は、世界最大級の暗号資産取引所であるバイナンスが発行する独自の暗号資産です。
2017年の誕生以来、BNBは単なる取引所トークンから多機能なデジタル資産へと進化し、暗号資産市場で重要な地位を築いてきました。
この記事では、BNBの歴史を振り返りつつ、その未来にどのような可能性が広がっているのかを詳しくご紹介します。
暗号資産に興味がある方や、BNBの将来性について知りたい方にとって、参考になる内容をお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。
BNBの誕生と初期の歴史
BNBは、2017年7月にバイナンスが実施したイニシャル・コイン・オファリング(ICO)を通じて初めて登場しました。
このICOは6月26日から7月3日までの短期間で行われ、1ETHで2,700BNB、または1BTCで20,000BNBという価格で提供されました。
総供給量は2億BNBと定められ、そのうち半分の1億BNBが公開販売され、残りは創業者チームやエンジェル投資家に割り当てられました。
ICOでは約1,500万ドル相当のビットコインとイーサリアムが集まり、これがバイナンスの初期資金となりました。
当初、BNBはイーサリアムブロックチェーン上でERC-20トークンとして発行されました。
その主な目的は、バイナンス取引所での手数料支払いに使用することで、ユーザーに手数料割引を提供することでした。
例えば、BNBを使って取引手数料を支払うと、最大25%の割引が適用される仕組みです。
この実用性がユーザーに支持され、BNBの需要は急速に高まりました。
バイナンス自体も、設立からわずか180日で世界最大の取引所に成長し、BNBの価値をさらに押し上げました。
独自ブロックチェーンへの移行と進化
2019年、BNBは大きな転換期を迎えます。
バイナンスは独自のブロックチェーン「バイナンスチェーン(Binance Chain)」を立ち上げ、BNBをイーサリアムからこの新しいチェーンに移行させました。
これにより、BNBはERC-20トークンからBEP-2トークンとなり、バイナンスチェーンのネイティブ通貨としての役割を担うようになりました。
この移行は、取引速度の向上やスケーラビリティの強化を目指したもので、バイナンスのエコシステム拡大の基盤となりました。
さらに2020年には、「バイナンススマートチェーン(Binance Smart Chain、BSC)」がリリースされます。
BSCはスマートコントラクトに対応したレイヤー1ブロックチェーンで、イーサリアムと互換性を持ちつつ、低コストかつ高速な取引を実現しました。
BNBはBSCでもネイティブトークンとして使用され、ガス代の支払いやステーキング、分散型金融(DeFi)プロジェクトへの参加など、多様な用途で活用されるようになりました。
この時期、DeFiやNFTのブームが重なり、BSCの利用が急増し、BNBの価値も大きく上昇しました。
トークンバーンと供給量の管理
BNBの特徴の一つに、「トークンバーン(焼却)」があります。
バイナンスは、四半期ごとに利益の20%を使ってBNBを買い戻し、それを永久に破壊する仕組みを導入しました。
この取り組みは、BNBの総供給量を2億から1億に減らすことを目標としており、希少性を高めて価値を維持する戦略です。
2021年には、バーン方法が「オートバーン」に進化し、BNBの価格やBSCのブロック生成数に基づいて自動的に焼却量が調整されるようになりました。
これまでに20回以上のバーンが行われ、2022年7月時点で約3,868万BNBが焼却されています。
最も高額なバーンは2021年4月で、約6億ドル相当のBNBが破壊されました。
この仕組みにより、BNBはデフレーション型の資産としての特性を持ち、長期的な価値向上が期待されています。
BNBの現在の役割と利用シーン
現在、BNBはバイナンスエコシステムの中核を担う多目的なトークンです。
取引所での手数料割引はもちろん、BSC上でのトランザクション手数料、ステーキング報酬、トークンセールへの参加など、用途は多岐にわたります。
さらに、バイナンスペイやバイナンスカードを通じて、オンラインや実店舗での支払いにも利用可能です。
旅行予約サイト「Travala.com」でのホテルや航空券の支払い、さらには慈善活動への寄付など、実生活での活用シーンも広がっています。
2025年時点でのBNBの市場規模は大きく、時価総額でビットコイン、イーサリアム、テザーに次ぐ4位に位置しています。
価格は過去最高値である686ドル(2021年5月)を一度超え、2024年末には793ドルを記録するなど、成長を続けています。
これらの成功は、バイナンスの強固な基盤とBNBの多機能性によるものです。
BNBの未来と可能性
BNBの未来を考える上で、まず注目すべきはバイナンスエコシステムのさらなる拡大です。
バイナンスは取引所だけでなく、DeFi、NFT、GameFi(ブロックチェーンゲーム)など、さまざまな分野で革新を進めています。
BSCは低コストで高速なプラットフォームとして、イーサリアムの代替として引き続き利用が期待されます。
特に、新興国の暗号資産普及が進む中、BSCの利便性が注目を集めるでしょう。
また、規制環境の変化もBNBの未来に影響を与えます。
2023年にバイナンスの創業者である趙長鵬(CZ)がマネーロンダリング関連の罪で有罪を認め、罰金を支払ったことは一時的な懸念材料となりました。
しかし、新CEOの下で運営が安定し、信頼回復に努めているため、長期的な影響は限定的と見られます。
米国での規制が厳格化する中、バイナンスがグローバル市場での地位を維持できれば、BNBの価値もさらに上昇する可能性があります。
価格予測については、専門家の意見が分かれます。
2025年には1,200ドルから1,630ドル、2030年には2,000ドルから6,000ドルに達するとの楽観的な見方がある一方、市場の変動や競争の激化で下落するリスクも指摘されています。
BSCの採用拡大や新しいユースケースの開発が進めば、BNBはさらなる高みを目指せるでしょう。
最後に
バイナンスコイン(BNB)は、2017年の誕生からわずか数年で、暗号資産市場のトッププレイヤーに成長しました。
取引所トークンとしてのスタートから、独自ブロックチェーンを支えるネイティブ通貨へと進化し、多様な用途で利用される資産へと変貌を遂げています。
トークンバーンによる供給管理や、バイナンスのエコシステム拡大がその価値を支え、未来への期待を高めています。
BNBの将来は、バイナンスの成功と密接に結びついています。
規制や市場環境の変化に適応しつつ、新たな技術革新を続けることができれば、BNBは暗号資産の未来をリードする存在となるかもしれません。
投資を検討する方は、リスクを理解しつつ、その可能性に注目してみてください。
BNBの旅はまだ始まったばかりです。